2021年12月08日掲載
医師・歯科医師限定

2013年以降変化した喘息の検査・診断――呼気NO検査は喘息の早期発見に寄与、モストグラフは検査時の患者負担少なく

2021年12月08日掲載
医師・歯科医師限定

高知大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学教室 教授

横山 彰仁先生

喘息の検査に関して近年ドラスティックな変化はないが、2013年に呼気一酸化窒素(fractional exhaled nitric oxide:FeNO)検査が保険収載され、広く診療所などでも使われるようになっていることは大きな進歩といえる。

一酸化窒素(nitric oxide:NO)は気道の好酸球性炎症を捉えるバイオマーカーであり、非侵襲的かつ簡便でリアルタイムに測定が可能という利点がある。従来は気道の炎症を測る際、喀痰や生検組織を用いていたが、侵襲的であることや迅速さの欠如が課題であった。それらの課題を克服したものが呼気NO検査であり、広く採用されている。呼気NO値は喫煙や鼻炎の影響はあるものの、喘息の鑑別診断に有用で、喘息の早期発見に寄与していると考えられる。

もう1つ専門施設でよく使われるようになっているのが呼吸抵抗検査(モストグラフなど)だ。「モストグラフ」は東北大学の黒澤 一教授が開発したもので、安静時の呼吸抵抗(気道における空気の通りにくさ)を色付きで視覚的に診ることができる検査法であり、従来の呼吸機能検査のように思い切り息を吐き切る必要がない。つまり患者の努力依存性の検査ではないため、より客観性がある。

呼吸器疾患を持つ患者は元々息苦しさなどの症状があり、呼吸機能検査ではさらに苦しい思いをする場面があった。その点、気道抵抗の測定は通常の呼吸で評価が可能であるから、患者の負担が少ない検査として有用である。ただし、これまで慣れている肺機能検査のパラメータを反映するものでもあるが、努力依存性の肺機能検査とは異なり安静時の検査であるため、個々の患者の病態を把握するうえで興味深いものとなっている。

会員登録をすると、
記事全文が読めるページに遷移できます。

会員登録して全文を読む

医師について

新着記事