2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

がんの適応広がる免疫チェックポイント阻害薬、心筋炎の原因にも――腫瘍循環器分野の基礎研究進展を

2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻器官病態内科学講座 循環器内科学教授

小室 一成先生

がんの治療で免疫チェックポイント阻害薬の適応が徐々に拡大している。この薬で怖いのが、実は心筋炎だ。免疫チェックポイント阻害薬は、原理として免疫のブレーキを外すので、それによって甲状腺炎や腸炎、1型糖尿病などさまざまな自己免疫疾患が起こりやすくなる。心筋炎が起こる確率は1%に満たないが、起こると半数が命を落とすといわれており極めて重症である。

ほかにも「アドリアマイシン心筋症」といって、抗がん剤のアドリアマイシン(ドキソルビシン)を投与すると、心不全発症の可能性が高まることが知られている。それ以外の抗がん剤もほとんど全て心毒性があるが、どのような機序で心臓を傷めるのかについては解明されていない。ACE阻害薬やβ遮断薬は効くこともあるが、それだけでは心不全を十分予防することはできない。がんの治療を安全に完遂するため、またがんを克服した人が循環器疾患で亡くなることがないようにと考え、2017年がん専門医と循環器専門医が一緒になって日本腫瘍循環器学会を設立した。

抗がん剤や放射線による治療は、心不全ばかりでなく、高血圧、虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、末梢動脈疾患、肺高血圧などほとんど全ての循環器疾患を発症しうる。そこで学会の事業としては、(1)がん患者の循環器疾患発症の実態調査(2)診療ガイドラインの作成(3)腫瘍循環器の啓発(4)抗がん剤や放射線による心血管傷害の分子機序の解明と治療法の確立――とした。

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