2021年09月30日掲載

胃癌治療ガイドライン2021年7月改訂の要点――未分化型粘膜内がんがESD適応に

2021年09月30日掲載

東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

藤城 光弘先生

2021年7月「胃癌治療ガイドライン第6版」が発行された。およそ3年ぶりの改訂である。胃がん内視鏡的切除に関する改訂のポイントはいくつかあるが、もっとも大きな変化は、2cm以下のUL(潰瘍所見)0の未分化型粘膜内がんが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の絶対適応病変になったという点だ。がんには分化型と未分化型の2種類あり、これまではESDの絶対適応病変は分化型のがんに限定され、未分化型のがんは適応拡大病変として扱われていた。しかし、「未分化型早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の適応拡大に関する非ランダム化検証的試験(JCOG1009/1010)(https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000005789&language=J)」の結果を受けて、2cm以下のUL0の未分化型粘膜内がんがESDの絶対適応病変になった。これは内視鏡的切除に関する内容として、今回の改訂における最大の変化と捉えている。

藤城氏提供資料より

JCOG1009/1010の研究について、2021年3月にGastric Cancerで発表されている。275例の未分化型の早期胃がんを実際に治療した結果、5年生存率が99.3%(95% 信頼区間, 97.1–99.8%)というデータが得られたという。元々、この研究では閾値で89.9%を超えれば主要評価項目を満たすとされており、今回の結果は十分にそれを上回った。この結果が根拠となり、今回の改訂が行われた。

また、早期胃がんを内視鏡的に摘除した後には根治度の評価を行うが、そちらも改訂されている。2cm以下のUL0の未分化型粘膜内がんの内視鏡的根治度を「eCuraA」、すなわち基本的には根治切除が得られた状態としている。


藤城氏提供資料より

一方、粘膜下層へわずかに浸潤しているSM1は「eCuraB」、すなわち根治切除が得られている可能性は高いが、まだ十分なエビデンスが集まっていない。そのため、異時性胃がんの発生に対する内視鏡検査に加え、転移のリスクを含めて治療後のフォローアップ(腹部超音波もしくはCT検査)を行う方針が示されている。現在eCuraBとなっている部分については、今後のエビデンス集積が期待される。

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