2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

胃癌治療ガイドライン2021年7月改訂の要点――抗血栓薬服用者に対する内視鏡的切除は推奨されるか

2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

藤城 光弘先生

2021年7月発行「胃癌治療ガイドライン第6版」では、抗血栓薬服用者に対する内視鏡的切除に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が設けられた。「抗血栓薬服用者に対する内視鏡的切除は推奨されるか?」という点は、「治療に伴う利益と不利益を十分に考慮したうえで、実施することを強く推奨する」となっている(合意率89%<8/9>、エビデンスの強さC)。主な利益は腫瘍の根治切除、主な不利益は術後出血と血栓塞栓症である。

「抗血栓薬」とは抗血小板薬、抗凝固薬を合わせたものを指す。抗血栓薬を服用している患者では、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の出血が有意に増えることが知られている。ただ、抗血栓薬服用者に対して胃ESDの前後で服用をそのまま継続した群、ヘパリンに置換した群、休薬した群で、後出血率に大きな差が出ないという報告もみられる。つまり、抗血栓薬の管理法の違いは後出血率に大きな影響を与えない可能性があるのだ。特に抗血小板薬の低用量アスピリンを使用している場合、出血リスクはあまり変わらない可能性がある。

ただし、単剤ではなく多剤(2剤以上)服用や、抗凝固剤のワーファリンやリバーロキサバンを服用している場合、あるいはヘパリン置換を行った場合には出血のリスクが上昇するとのデータが出ている。特にリバーロキサバンは出血リスクが高い。しかし、ダビガトランは比較的出血を起こしにくいようだ(参考)。なお、抗血栓薬服用例における血栓塞栓症のリスクは1%ほどであるから、出血リスクと血栓塞栓症のリスクの兼ね合いで管理を考える必要がある。

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