2023年04月13日掲載
医師・歯科医師限定

糖尿病治療で求められる地域連携の在り方とは――エリアにより異なる課題も

2023年04月13日掲載
医師・歯科医師限定

北里大学病院 内分泌代謝内科 科長/主任教授

宮塚 健先生

一口に地域連携と言っても、エリアによって求められるものは大きく異なる。たとえば、同じ神奈川県でも横浜市や川崎市には糖尿病専門医が在籍する病院がたくさんある。一方、北里大学病院がある相模原エリアは、人口約70万人の相模原市、周辺地域を合わせて100万人以上の医療圏の中に、大学病院は1つだけだ。糖尿病専門医が在籍する中規模以上の病院も非常に少ない。したがって、この病院にさまざまな患者が集まってくることになる。全国的にみると、大きな病院がいくつもあるような医療圏は少数で、我々と同じ課題を抱えている地域も少なくない。

限られた人的資源の中でこの課題にどう向き合うか、日々頭を悩ませている。昨年度からはじめたいくつかの取り組みを紹介したい。まず、大学病院の医師を常勤医として近隣の病院に送れない場合には、非常勤医師として糖尿病専門医、内分泌専門医を派遣することにより、患者が専門医に触れる接点を増やすように心掛けている。これまで当院では、ICUでの管理が必要な1型糖尿病の重症ケトアシドーシスや甲状腺クリーゼの症例が搬送されてくることも多かった。当科スタッフが非常勤医師として勤務することで、患者が重症化する前に大学病院に転院する体制を整えたい。

当院での急性期の治療が落ち着いたら、近隣の医療機関に“逆紹介”する体制も強化している。患者にとっては通院の負担が軽減され、近隣の医療機関の収益にも貢献できる上、我々は専門的な経験・知識が必要な診療に集中できる。

私が以前在籍していた順天堂大学や大阪大学周辺の医療圏では糖尿病専門医も多く、先程触れた重症のケトアシドーシスや甲状腺クリーゼに遭遇する機会は少なかった。研修医のころからそのような症例に数多く触れることができる点は当院での臨床研修の強みの一つだ。当科の若手スタッフ全員が糖尿病専門医となる頃には当医療圏の状況も改善しているのではないか。

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