2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

新型コロナでも多い心不全死――ワクチンでの発症なら軽微、接種控えの理由にならず

2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻器官病態内科学講座 循環器内科学教授

小室 一成先生

新型コロナウイルス感染症による死因でもっとも多いのは肺炎だが、実は心不全が原因で亡くなっている人も多い。血管を構成する内皮細胞には新型コロナウイルスの受容体が存在するため、ウイルスが内皮細胞を傷害し血管炎から血栓塞栓症を起こし、その結果として心筋細胞の傷害も起こすと考えられている。

コロナに感染するとまったく症状のない元気な若者やアスリートにおいても高率に高感度心筋トロポニンが上昇したり、MRIにより心臓に炎症が認められたりすることから、心筋炎の発症が疑われた。多くは軽症であり命にかかわるような重症例はごくまれであったが長期的な予後は不明である。

一方最近海外で、新型コロナワクチンの接種により心筋炎を発症したという事例が特に若年男子において多く報告された。新型コロナワクチン接種による心筋炎の発症率は100万人あたり数人から多くて数十人とごくまれであり、ワクチンによる心筋炎もほとんどがごく軽症である。コロナ感染による心筋炎の発症率は報告によってかなり異なるが、少なく見積もってもワクチン接種によって起こる心筋炎よりも一桁以上多く発症すると考えられる。したがってワクチンにより得られる利益を考えると、心筋炎のリスクは接種を控える理由にはならない。

軽症の心筋炎が重症化することはごくまれであるので過剰に心配する必要はないが、もし新型コロナ感染やワクチン接種後に胸痛や動悸などの胸部症状が出た場合は、速やかにかかりつけ医や循環器医に相談することが重要である。

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