2021年09月24日掲載
医師・歯科医師限定

腹膜播種に対する治療の進歩と課題――テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤やパクリタキセルの活用は

2021年09月24日掲載
医師・歯科医師限定

名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学講座 教授

小寺 泰弘先生

がんが腹腔内に散らばった転移の形である「腹膜播種」は、免疫療法も比較的効きにくく、その難治性と予後の不良が課題となっている。しかし近年では、再発予防のために行うアジュバント療法(術後補助療法)が非常によい効果を示すことが分かってきた。実際に自身の患者においても、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の投与により術後の腹膜播種再発を抑制できる症例をいくつも経験している。

これまでは、腹膜播種が進行して腹水が生じた患者さんの苦しそうな表情やひどくなっていく状態を見ることが非常につらかった。しかし現在は抗がん剤の1つ、パクリタキセルを腹腔内に直接注入することで状態が改善することが分かってきた。腹水がなければ生活に支障も出にくく、患者のQOLは維持されるだろう。ただし、この治療法は現在保険適用されておらず完全自費診療となるため、患者の負担が大きいという課題が残っている。

この課題を解決するべく私自身も6〜7年前から保険収載の必要性を訴えているが、いまだ実現に至っていない。腹膜播種を発症した患者のQOL維持の観点からも、今後保険適用の拡大に期待したい。

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