2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

【インタビュー】AIやウエアラブルデバイスでの心房細動早期発見に期待――脳卒中予防の強力ツールに(800字)

2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻器官病態内科学講座 循環器内科学教授

小室 一成先生

心房細動に関してはスマートウォッチのようなウエアラブルデバイスによる早期発見への期待が高まっている。ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に2019年、「アップルウオッチの心電計でアラートが出た人を調べたら約3割に心房細動が見つかった」という研究結果が掲載された。またAIによって10秒間の洞調律心電図から発作性心房細動の有無を79%の精度で診断したといった論文が2019年のLancetに出た。

脳梗塞の中で死亡したり大きな後遺症が残ったりするリスクがもっとも大きいのが心原性脳梗塞、すなわち心房細動が原因となるものだ。したがって脳卒中予防にとって最も重要なことの1つは、まだ気付かれていない心房細動を見つけることである。心房細動の患者は80万人いるが、“隠れ心房細動”がほかに90万人以上いるだろうと考えられている。1日の内たまに発作性心房細動が起こっていても、よほどの幸運がなければ心電図検査で捕まえることはできない。最近のデータでは、心房細動が48時間程度続かなければ脳卒中は起こりにくいとされてはいる。しかし、最初は1日数分だけの発作が、たとえば翌年には1時間になり、その翌年には1日になり……と、だんだん延びていくことが多く、特に体調を崩したときなどは2~3日続くことも珍しくない。

脳卒中の予防には心房細動の早期発見が重要であり、AIやウエアラブルデバイスはそのための非常に強力なツールになるであろう。

われわれも繊維メーカーと組んでTシャツ型の心電図モニターを開発したが、同じように世界中でさまざまなモニター装置の開発が進められている。

これは心房細動だけにかかわるものではないが、「ウエア」ですらなく、カメラが日常の表情や動作から異常を検知したら医療機関に情報が飛んで、5G通信でインタビューを受け、診断されたら処方箋もオンラインで送られてくる――そういう時代が間もなく、確実にやって来るであろう。

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