2023年04月13日掲載
医師・歯科医師限定

国内外のエキスパートが集結・日本リウマチ学会4月末に福岡で現地開催――国内外から約2000演題が集まる

2023年04月13日掲載
医師・歯科医師限定

産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授

田中 良哉先生

日本リウマチ学会総会・学術集会が、2023年4月24日~26日にかけて福岡国際会議場/福岡サンパレス/福岡国際センターで開催される(現地開催・教育研修講演のみオンデマンド配信予定)。本学術集会には日本のみならず世界中からエキスパートが集まり、多数の英語セッションも用意されている。「国際的な環境に身を置いていることを実感してほしい」と語る、大会長の田中 良哉氏(産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授)に学術集会の見どころを中心に聞いた。

世界中から100人の著名エキスパートが来日

今回、欧州やアジアを中心とした各国からも著名なエキスパート約100人にお越しいただく。24のシンポジウムのうち8企画が国際シンポジウムで、昨年の欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会で話題となったトピックスをまとめて、欧州、米国、日本のリウマチ3 学会で議論する企画もある(TREG)。一般演題も海外から100題以上が集まり、中には戦争の最中にあるロシア、ウクライナからの演題もある。ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響により海外からの参加ができない状態が続いていたが、今年は世界に向けて英語のポスターを配布し、こうして多くの演題が集まった。さらに一般演題の座長を海外の著名な先生にお願いすることも考えていて、昔から親交のある先生方に「ボランティアで引き受けてくれないか」と依頼をしているところだ。高名な先生を前にしての発表は、特に若い医師にとって大きな刺激になるはずだ。自身がグローバルな環境に身を置いていることを福岡の地で実感してほしい。

米国リウマチ学会の“アンコール発表”も

今回、一般演題の募集終了後に最新の研究発表を応募できる「Late breaking abstracts」の枠を設けている(受付期間:2023年3月24日正午まで)。学術集会直前に査読者が採点して、演題を採用する。この企画の1番の狙いは、2022年秋に開催された米国リウマチ学会の“アンコール発表”だ。米国リウマチ学会では最新データが続々と発表されるため、その発表が日本でも聞けたら面白いだろうと思い企画した。米国リウマチ学会での発表者にとっても、もう一度日本で話せるビッグチャンスになるため、すでに想定以上の問い合わせが来ている。日本リウマチ学会は、リウマチ領域において世界で3番目に多くの参加者が集まる大規模な学会だ(米国リウマチ学会、欧州リウマチ学会に次ぐ)。世界中の研究者が一堂に会し、活発な議論や交流がなされることを期待している。

専門家に臨床・研究の相談ができる「Meet the Expert」

特別講演は、日本医療政策機構理事長の黒川清先生に「考えよ、問いかけよ―『出る杭人材』が日本を変える」のタイトルで、世界の中で日本の医療はどうあるべきかをご講演いただく。黒川先生は東京大学医学部教授、東海大学医学部長、東京電力福島第1原発事故の国会事故調査委員長も務められた。また、本学術集会の目玉の1つが、聴衆参加型教育プログラム「Meet the Expert」である。リウマチ学における各領域の専門家である講師と参加者が、直接交流して双方向に議論するための企画だ。講師には日本リウマチ学会の竹内 勤理事長(埼玉医科大学医学部 特任教授/慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 特任教授)を筆頭に、学会の副理事、理事全員が名を連ねる。

講師との距離をなるべく近くしたいと思い、プログラムは収容人数30人ほどの小さな部屋で行う。薬剤選択など日常診療で困っていることがあれば何でも質問可能で、研究について議論していただいてもよい。自分自身が積極的になればなるほど、たくさんのものが得られるだろう。参加方法についてはウェブサイトをご確認いただきたい。

若手に活躍の場を――「近未来のリウマチ医セッション」

今後は世界に通用するスター人材の育成をもっとも重要視している。今回の学会テーマ「至誠通天~その先へ…~」には、「その先」を担う若い世代を育成したいという思いが込められている。そこで今回企画したのが、初期臨床研修医・医学部学生がポスター発表する「近未来のリウマチ医セッション」だ。最優秀・優秀演題賞も用意している。いまだに膠原病疾患の講義がない大学もあるため、これを機に膠原病疾患への興味を持ってもらえればという期待もある。

また本学術集会は、専攻医および医学部学生、初期臨床研修医の参加費は無料にした。多くの方の参加をお待ちしている。

10年の「ドラッグ・ラグ」を埋めた活動

こうして世界を強く意識するのには大きな理由がある。かつて関節リウマチは進行が防げない病気だったが、自己免疫疾患であることが明らかとなり、抗リウマチ薬(メトトレキサート)が1999年に、生物学的製剤(インフリキシマブ)が2003年に国内承認されると関節リウマチの治療は大きく変わった。

非常に喜ばしい出来事であった反面、手放しでは喜べない現実もあった。これらの薬剤は5~10年も前から、アメリカではすでに患者さんに使用されていたのである(メトトレキサートは1988年から、インフリキシマブは1998年から)。産業医科大学の教授になった2000年、私は「この10年のドラッグ・ラグをゼロにしよう」と決心した。

そのためには、世界のトップリーダーと肩を並べられる存在として、彼らのコミュニティに仲間入りする必要があった。実力もなく行動もしなければ誰も見向きをしてくれない。松下村塾を開いた吉田 松陰先生が知見を深めるために日本中を遊学したように、積極的に海外に出向くことにした。国際学会での発表や質疑応答での発言、多くの論文執筆など地道な活動に加え、膠原病疾患に関わる欧州の診断基準作成委員会や、治験のグローバル・ステアリングコミッティ(運営委員会)のメンバーとしても活動してきた。

そんな努力が結果として現れたのが、JAK阻害剤(トファシチニブ)の開発・承認だった。トファシチニブは初の「経口関節リウマチ薬」としてアメリカのファイザー社が開発を主導した。その開発に際し「一緒にやりませんか」と声をかけていただき、日本とアメリカで治験がスタートした。そして、2012年にアメリカでトファシチニブが発売されたのに続き、日本でも2013年に発売に至ったのである。さらに、それ以降に登場したJAK阻害剤も、欧米とほぼ同時期に日本でも承認されている。まさに「ドラッグ・ラグ」がなくなったのだ。今では関節リウマチに対する新たな薬剤は十数種類も存在し、その中から患者に適したものを処方できれば、寛解導入や関節の構造的破壊を防げるようになっている。

ただし、これは関節リウマチに限った話であり、いまだ治療が難しい膠原病疾患は少なくない。こうした疾患の新薬開発も少しずつ進歩している段階にあり、今はちょうどその変革期にある。今後10年の動き次第で、これまで太刀打ちできなかった疾患の治療も大きく変わっていくことだろう。

市民公開講座では“公開診察”を実施

市民を対象とした公開講座も予定している。当学会の竹内 勤理事長と公益社団法人日本リウマチ友の会の長谷川 三枝子会長に基調講演をしていただくほか、“公開診察”を実施する。私が普段どのように検査・診断を行って薬剤を選択しているのかを、一般の方々の前で実演する予定である。患者さんやご家族が納得いく治療が受けられるよう、診断や治療の過程を知ってもらうことは大切だろう。

福岡の地でぜひ活発な議論・交流を

こうして学術集会を開催するもの、全て「患者のため」というゴールがあるからだ。今年11月には北九州市で日本臨床リウマチ学会が、2025年には福岡市でアジア太平洋リウマチ学会議が開催予定で、いずれも大会長を拝命している。まずは本学術集会を実り多き大会にして、次の大会へとつなげていきたい。1人でも多くの患者を救うために、日本からリウマチ領域全体を盛り上げられればと思う。

今年の学術集会は、3密になるポスター発表は減らすなど十分な感染対策を施したうえで、全面的に現地開催とした(教育講演のオンデマンド配信予定)。多くの方と福岡の地で交流できることを楽しみにしている。

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