2021年11月12日掲載
医師・歯科医師限定

肺がん検査画像撮影の被ばく量、正しい説明で患者の不安払拭を――胸部X線はほぼノーリスク、精密検査用CTは5回でがんリスク0.5%上昇

2021年11月12日掲載
医師・歯科医師限定

日本大学医学部附属 板橋病院 呼吸器外科 部長、日本大学 医学部 外科学系 呼吸器外科学分野 主任教授

櫻井 裕幸先生

患者の中にもCTの被ばくを心配する人がいる。CT検査を受けたときにその患者がどのくらいリスクなのか、ドクターに不安を伝えても正確な答えが返ってこないこともあるようだ。

胸部X線による被ばく量は0.05mSv(ミリシーベルト)程度でしかない。自然放射線による被ばく線量は日本での平均が年間2.1mSv(環境省)とされており、これと比べて十分に低く、リスクはまったくないといってよい。

低線量CTになると1.2mSv程度で、これも自然放射線よりも低いか同程度なのでそれほどリスクはない。

これに対して、一般の病院で受ける精密検査用のCTは20mSv程度で低線量の10倍以上の放射線を浴びることになる。

したがって、リスクの低い人が毎年通常のCTで検査を受けると、晩発的な悪性腫瘍のリスクが上昇する可能性がある。一般に、100mSvの被ばくでがんのリスクが0.5%高まるといわれている。通常のCTを5回受けると後年、がんで死亡するリスクが0.5%上がる――そう考えて検査にあたるべきだと考えている。

検診に用いる場合はできるだけ低線量で行うべきだが、一方で線量を低くしすぎると画質が悪くなって見落としのリスクが出てくる。いかに線量を下げながら質を保つかがポイントになる。

とはいえ、もともと進行がんだった場合、再発リスクが高ければ高線量でもCTを受けるメリットは大きくなる。一方、早期で切除すればほぼ100%近く根治できるがんの場合、再発検査のため毎年病院で通常のCTを撮るのは、もしかするとデメリットのほうが大きくなる可能性がある。

無意味な検査を受けることによって、がんが発生するリスクが高まることも場合によってはあるかもしれないので、たとえば20歳以下には過度にCTをしないなどの配慮が必要と考える。

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