2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

胃癌治療ガイドライン2021年7月改訂の要点――高齢者に対する内視鏡的切除は推奨されるか

2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

藤城 光弘先生

2021年7月に発行された「胃癌治療ガイドライン第6版」では、高齢者に対する内視鏡的切除に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が設定された。「高齢者に対する内視鏡的切除は推奨されるか?」という点は、「治療に伴う偶発症リスク(特に肺炎)に留意したうえで、実施することを強く推奨する」となっている(合意率100%<10/10>、エビデンスの強さC)。現在、高齢者の定義は揺れ動いているところであるが、今回は65歳以上を高齢者と定義して実際にシステマティックレビューを行った内容が示された。

ここで、本CQに関して9本の論文を基に治療有効性を検証したメタアナリシスを紹介したい。この論文によると、一括切除率と病理完全切除率については高齢者と非高齢者で違いはなく、偶発症の発生率、穿孔率や後出血率についても両者に違いはみられなかった。ただ、肺炎の発生率については高齢者で有意に増えていた。そのため、偶発症リスクの中でも特に肺炎に留意して内視鏡的切除を実施することが推奨されている。

なお、本CQの解説には「今後は暦年齢のみならず、生物学的年齢を考慮した研究を推進する必要がある」と記載されている。この考え方を反映した臨床試験の1つが「早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の高齢者適応に関する第3相単群検証的試験(JCOG1902)」だ。すなわち、3cm以下の早期胃がんに対して内視鏡的に摘除を行いフォローアップする方法が、最初から外科的胃切除を行う標準治療と比べて生存期間で劣らないかを比較する臨床試験である(参考)。結果が出るまで5~10年の時間はかかると見込まれるが、今後の動きには注目したい。

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