2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

密接になるがんと心疾患――腫瘍と循環器の専門医 連携が必要

2021年11月11日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻器官病態内科学講座 循環器内科学教授

小室 一成先生

近年、がんと循環器は非常に密接になってきている。

たとえば、近年小児がんは7割以上が治るが、がんを克服した子どもは、大人になると普通の人の10倍から20倍も心筋梗塞や心不全になりやすいことが知られている。したがってがんが治ったからといって安心してはいられず、がんの完治後も心機能が低下していないか、定期的な検査が必要である。抗がん剤による心不全は治療開始後半年以内に発症することが多いが、中には10~20年してから心不全を発症する人もいる。アドリアマイシン心筋症の予後は大変不良であり、5年生存率は拡張型心筋症よりも悪い。東大病院でもアドリアマイシン心筋症を発症し、重症心不全のために心臓移植を待っている人が何人もいる。

一方で、比較的予後がよい乳がんにおいても循環器疾患について気を付ける必要がある。乳がんの治療にもアドリアマイシンやハーセプチンが使われる。ハーセプチンは心臓の内皮細胞が分泌する心筋細胞の保護分子であるニューレギュリンの作用をブロックする。ハーセプチンだけでは心不全を発症することは少ないが、アドリアマイシンとの併用で重症心不全を招く。また乳がんは予後がよいので長生きが可能であるが、治療をして9年ほどたつとがんではなく心疾患で亡くなる人のほうが多くなる。

抗がん剤の添付文書でも、多くの抗がん剤には心毒性があるので治療に入る前や治療後も半年に1度は心エコーを撮るよう推奨されている。ところが全国にあるがんセンターなどでも循環器医がいないところが多く、循環器疾患に関する十分なフォローが難しい状況である。心臓にはがんができないので、これまでは腫瘍専門医と循環器専門医は疎遠であったが、両者の連携が極めて重要になってきている。

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