2021年08月30日掲載
医師・歯科医師限定

全ゲノム解析が変えるがん治療の可能性――「二次的所見」取り扱いには配慮必要

2021年08月30日掲載
医師・歯科医師限定

尼崎中央病院 副院長/消化器病センター長

松原 長秀先生

近年、ゲノム解析の技術革新が目覚ましい。昔なら何十年もかかっていた全ゲノム解析が、今では数時間で行えるようになった。しかも費用は以前より格段に低い。

これにより疾患の原因となるさまざまな遺伝子変異を同定しやすくなっている。多くの病気が遺伝子に関わるとするならば、がんに限らず人々にとってより身近な糖尿病や循環器疾患などについても、遺伝子と病因の関連の解明が今後急速に進展することが予想される。

がんゲノム医療については、標準治療が終了した患者を対象として「最後の選択肢」を検討する際に、がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)を行う方法がある。がん遺伝子パネル検査で遺伝子変異が発見され、それに対応する薬剤があれば、臨床試験などで同薬剤の使用を検討していく。

がん遺伝子パネル検査の技術革新と導入に伴い、当初意図していなかった「副産物」として遺伝性疾患が数多く発見されている。二次的所見が発生した場合、被検者への情報伝達には配慮しなければならない。被検者がその情報に触れ、不安を感じる可能性があるからだ。被検者には二次的所見の結果を聞かないという選択肢がある。また、結果を伝える場合でも本人が十分に理解できるよう相談の体制を整えなければならない。いずれにせよ二次的所見が発見される可能性について被検者へ事前に説明し、理解を得ることが重要である。

このように課題も残りつつ、今後は遺伝子を調べてから行うがん治療というものが一気に進んでいく可能性があるだろう。

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