2021年08月23日掲載
医師・歯科医師限定

術前化学療法が効かなかった場合に術後補助療法で予後が改善――トリプルネガティブにはカペシタビン、HER2陽性には新たなHER2阻害薬で

2021年08月23日掲載
医師・歯科医師限定

東京医科大学病院乳腺科主任教授/日本乳癌学会理事

石川 孝先生

乳がんは手術の前に化学療法で治療を開始する方法が一般的になってきた。特にHER2陽性の場合は、半数近くの症例でがんが完全に消えてしまう。さらに手術の病理標本で、がんが消えていない場合に残存した病変を観察して、術後に薬剤を追加するレスポンスに基づいた個別化治療がここ2年ほど注目されている。

最初に報告された重要な報告は、第3相臨床試験「CREATE-X試験」で2015年のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。術前化学療法でがんが残存していた症例にカペシタビンの追加の効果を検討した試験で、特に化学療法が重要なトリプルネガティブ乳がん(ER、PgR、HER2陰性)で追加した場合の効果が顕著だった。この結果を基に、トリプルネガティブ乳がんの症例で化学療法によってがんが消失しなかった予後の悪い症例には、カペシタビンを術後に追加するという治療法が注目されている。しかし、エビデンスとしてはその臨床試験のみのため、まだガイドラインに載っていない。

HER2陽性乳がんでも、ハーセプチンを含む術前化学療法の後で、がんが残った患者に対して、次の世代のHER2阻害剤を使うことによって予後が改善した。

このように、術前化学療法の効果を見て術後に治療を変更する、いわゆるレスポンスガイドの治療が最近の重要な治療の考え方である。

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