2021年08月23日掲載
医師・歯科医師限定

エビデンスの「海外直輸入」には一考の余地――体型差や薬剤感受性の違いなどで異なる結果になることも

2021年08月23日掲載
医師・歯科医師限定

東京医科大学病院乳腺科主任教授/日本乳癌学会理事

石川 孝先生

日本人と欧米人では体型が違うため、手術や放射線治療などの局所治療の海外のエビデンスを日本人にそのまま外挿することはできない。たとえば肥満症例が少ない日本では、腋窩転移のリンパ節は十分な郭清を行うことができるが、肥満で乳房も大きい欧米人では不十分になる。欧米のエビデンスに基づいて、リンパ節転移が1つでもあればリンパ節郭清した後に、放射線治療を追加することがガイドラインで推奨されている。日本人の乳がん症例を調ベてみると、郭清されていれば放射線治療なしでも再発率は欧米と比較して明らかに低く、手術による制御で十分な可能性が高い。こうした点から、放射線治療のガイドラインが日本人に当てはまるかは疑問である。また薬物療法でも人種差が生じる可能性がある。たとえば抗がん剤を使うと白血球が減少して発熱する危険な状態になる。以前からアジア人のほうが欧米人よりもこのような血液毒性が出やすいといわれていたため、我々の臨床試験グループで検証したところ、欧米人では発熱性好中球減少症は10%以下しか起こらない治療法で、日本人では倍の20%の症例で生じていた。海外の重要な情報は参考にするべきであるが、日本人、アジア人での検証も重要である。

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