2021年09月24日掲載
医師・歯科医師限定

治療選択のパラダイムシフト――切除不能胃がんの1次治療に免疫療法も

2021年09月24日掲載
医師・歯科医師限定

名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学講座 教授

小寺 泰弘先生

今、切除不能な進行・再発胃がんの治療選択が大きく変わろうとしている。これまでサードラインで使用されていた免疫療法がファーストラインで行われるようになる可能性がある。

たとえば、免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」は従来サードライン以降で使用される薬剤であったが、ファーストラインでニボルマブと従来の抗がん剤を併用する場合と、抗がん剤のみで治療する場合を比較するグローバルな臨床試験(CheckMate -649試験)が行われ、前者は主要評価項目であるPD-L1 CPS≥5の患者においてPFS(無増悪生存期間)、OS(全生存期間)のいずれにおいても有効性が証明されている。

一方、アジアの3か国でPD-L1発現を問わないHER2陰性進行再発胃がんを対象に行われた同様のランダム化試験(ATTRACTION-4試験)では、「ニボルマブ」併用により奏効率が有意に向上しPFSには有意な延長を認めたものの、OSでは有意差に至らなかった。しかし、そのOSがいずれの群においても17か月を超えるなど、かつてないほどの治療成績が示された。以上からニボルマブがファーストラインで使用できるようになる可能性は高く、焦点はバイオマーカーによる患者選択が必要となるかどうかという点に絞られると予想される。

従来、進行再発胃がんにおける薬物療法の開発を目的とする第三相試験のプライマリーエンドポイント(主要評価項目)は原則として1つで、客観的に判定しやすい評価項目であるOSが採用されていた。このため、セカンドライン以下の高次治療の影響でPFSにおける有意差がOSに反映されず、ファーストラインでの保険収載に至らなかった薬剤がいくつかあった。しかし、今回の臨床試験ではOSとともにPFSもプライマリーエンドポイントとなっており、この形で胃がんの治療薬が承認される初めてのケースとなりそうである。ファーストラインから免疫療法が行われるようになれば、診療ガイドラインも大きく書き換えられるであろう。

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