2023年07月04日掲載
医師・歯科医師限定

2型糖尿病は治らない? 実は100人に1人が寛解―新潟大の研究で判明したその条件とは

2023年07月04日掲載
医師・歯科医師限定

MedicalNoteExpert編集部

「一度なったら治らない」と考えられてきた2型糖尿病患者のうち、約100人に1人の割合で寛解状態になる人がいることが、新潟大学大学院 医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野の藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らの研究グループの分析で判明。寛解が起こりやすい条件も明らかにした。研究結果は糖尿病の国際専門誌「Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載された*

*「Incidence and predictors of remission and relapse of type 2 diabetes mellitus in Japan: Analysis of a nationwide patient registry (JDDM73)」:First published: 08 May 2023

全国4万8000人の患者データから見えたこと

これまでも、2型糖尿病と診断されて治療を開始した患者のうち、食事療法や運動療法をはじめとした生活習慣療法、一般的な薬物療法、肥満外科手術、あるいはそれらの組み合わせによる減量などによって血糖値が改善し、薬剤が不要になる寛解(薬物療法を行っていない状態で少なくとも3カ月間HbA1cが6.5%未満を持続している)状態になることが時折あったという。ただ▽日本人ではどの程度の割合で患者が寛解しているのか▽寛解になりやすい人の条件▽いったん寛解した人のうち、どのような人がその状態を維持できるのか――といったことは分かっていなかった。

研究グループは「糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)」のデータベースに登録された全国の糖尿病専門施設に通院中の2型糖尿病患者4万8320人の長期臨床データを解析した。対象者は、登録時に寛解の状態ではなくHbA1c値や体重を継続的に測定されている18歳以上の患者。1989~2022年の間に寛解したか追跡した。さらに、その後寛解が1年間続いたか判定し、寛解や寛解後の再発と関連する要因を検討した。

その結果、追跡期間(中央値)5.3年に3677人が寛解に至り、頻度は1000人を1年間追跡すると10.5人(約1%)となった。

寛解に至る割合が高かった条件は、観察開始時に

  • 男性
  • 40歳未満
  • 糖尿病と診断されてから1年未満
  • HbA1c値7.0%未満
  • BMIが高値
  • 1年間の減量幅が5%以上
  • 薬物療法を受けていない

――だった。

また、その中でも1000人あたりの寛解発生数が高い条件は

  • 1年間の減量幅が10%以上:48.2人
  • HbA1c値7.0%未満:27.8人
  • 1年間の減量幅が5~9.9%:25.0人
  • 薬物療法を受けていない:21.7人

――となっていた。

体重に関してはBMIが0~4.9%低下したケースを基準として、5.0~9.9%低下した場合は寛解の発生が2.2倍に、10%以上の低下では同4.7倍上昇した。逆に、体重が増加すると寛解が発生しにくくなる傾向も確認された。

寛解に達した3677人を追跡した結果、寛解状態を維持できたのは3分の1以下の1187人にとどまり、残る2490人は再発していた。再発した患者の特徴は観察開始時に▽糖尿病と診断されてからの期間が長い▽BMI値が低い――ことに加えて体重が増加したことが挙げられる。

5%程度の減量から寛解期待できる可能性

研究チームは、結果として「食事、運動をはじめとした治療への取り組みにより、5%程度の減量から寛解が期待できる可能性が示された。たとえ糖尿病と診断されても、早期から生活習慣改善や薬物治療に取り組み、減量を行うことで寛解の可能性がある。また、寛解後も体重を適正に管理し、定期的に診察を受けることが再発予防に重要である可能性がある」としている。

今後は構築したデータを基に寛解に関する要因の分析を継続。より多くの人が寛解に至るためにすべきことを現場診療に生かしていくという。

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