2021年12月08日掲載
医師・歯科医師限定

小児喘息からCOPDへの流れ明らかに――ACO鑑別し喘息因子あればステロイド処方を

2021年12月08日掲載
医師・歯科医師限定

高知大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学教室 教授

横山 彰仁先生

喘息と慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は共に閉塞性呼吸器疾患に分類される。近年、小児期の喘息が成人になってCOPDにつながっていくという流れが明らかになってきた。一般的に肺機能は20歳前後をピークにその後徐々に下がっていくが、小児喘息があった人のうち半分ほどは最大到達肺機能が通常よりも低くなるらしい。そのような人はCOPD予備軍になるということだ。この傾向は、小児喘息が完治した例においても同様にみられる。

以前から喘息とCOPDが合併する症例の存在は認識されていたが、GINA(Global Initiative for Asthma)とGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)の合同会議を経て、2014年には喘息とCOPDのオーバーラップ症候群(Asthma-COPD overlap syndrome:ACOS)と呼ばれることとなった。しかし、近年ではこのような病態は症候群ではないとの考えが主流となり、喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap:ACO)と改称された。国内では2017年に日本呼吸器学会から『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap:ACO)診断と治療の手引き2018』が刊行されている。

しかし、世界的にACOという病名の必要性については議論が続いているのが現状である。ACOという病名を与える意味、あるいはACOを鑑別する意味を考えてみると、もっとも注意が必要な症例はCOPDで喘息の因子がある人だ。なぜなら単にCOPDだけならば気管支拡張薬の処方で事足りるが、喘息の因子があれば吸入ステロイド薬(ICS)も追加しなければならないからである。つまり、治療可能な疾患の1つとして好酸球性気道炎症のあるCOPD(Eosinophilic COPD)があり、そこに対しては適切に吸入ステロイド薬を処方するべきということだ。

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