2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

【インタビュー】食道がんに対する内視鏡的切除後の狭窄をいかに予防するか――臨床研究の進展(480字)

2021年09月30日掲載
医師・歯科医師限定

東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授

藤城 光弘先生

食道がんに対する内視鏡的切除後の出血リスクは非常に低く、穿孔については粘膜下層を直視するトラクションデバイスなどの技術が発達したことで徐々に克服されつつある。一方で、術後狭窄のリスクには留意しなければならない。特に、全周性の内視鏡的切除後には難治性の狭窄が起こりやすく(ほぼ必発)、患者のQOLを著しく低下させる恐れがある。そのため、術後狭窄をいかに抑えるかが課題とされてきた。

これを踏まえ、近年は全周性の内視鏡的切除の狭窄を予防するための方法が研究されている。その1つが、「早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄予防を目的とするステロイド内服療法およびステロイド局注療法のランダム化比較第3相試験(JCOG1217)」である。この臨床試験では、早期食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の狭窄予防を目的とするステロイド局注療法に対するステロイド内服療法の優越性を検証することを目的としている。

今後の展開として、術後狭窄を予防し、患者のQOLを維持しながら全周性病変に対しても内視鏡的切除を行う方法がスタンダードになっていく可能性がある。本試験の結果に注視したい。

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