2022年03月08日掲載
医師・歯科医師限定

【インタビュー】肺高血圧症を伴う全身性強皮症、増えつつある薬の選択肢――基礎疾患治療の進歩により肺高血圧症の発症抑制にも期待(800文字)

2022年03月08日掲載
医師・歯科医師限定

日本医科大学 大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野 大学院教授/日本医科大学付属病院 リウマチ・膠原病内科 部長/強皮症・筋炎先進医療センター センター長

桑名 正隆先生

膠原病の1つ「全身性強皮症」は皮膚や内臓など全身の組織に線維化をきたす疾患だ。多くの患者でレイノー現象(寒冷刺激によって手指が白や紫に突然変化する症状)を含めた血管障害が現れる。その1つとして、肺血管壁が線維化で厚くなり内腔が狭窄することで肺高血圧症をきたすことがあり、その割合は全身性強皮症患者のうち10~15%である。現在、肺高血圧症の早期発見を目的として、全身性強皮症の患者に毎年心エコー検査によるスクリーニングが普及している。

全身性強皮症では、発症から5~10年以上をかけて徐々に病態が進行した結果として肺高血圧症をきたす。したがって、発症早期に全身性強皮症そのものを制御するための治療を行うことが重要と考えられている。最近では、質の高いランダム化比較試験(RCT)において全身性強皮症の一部のサブセットに対する治療薬の効果が証明されており、少しずつ治療薬の選択が増えている。これは非常に好ましい状況といえよう。

ただ、国によって新薬の承認や保険償還のシステムに違いがあるため、全身性強皮症の治療薬の中にも海外で広く使用されていても、日本では保険診療で使用できない薬剤が存在する。このような状況を踏まえ現在、日本リウマチ学会(JCR)、日本呼吸器学会(JRS)が患者会などと協働し、未承認・適用外薬を早期に日本で使用できるよう国にはたらきかけている。

全身性強皮症のほかにも、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や特発性肺線維症(IPF)、先天性心疾患、肝硬変などが原因となって肺高血圧症が起こる可能性がある。いずれにおいても、基礎疾患そのものをコントロールする治療法が進歩すればそれに応じて肺高血圧症の発症を抑制できるという考え方は共通である。今後は、肺高血圧症そのものの治療はもちろん、そこに至るための適切な早期発見、診断と原因疾患の治療というプロセスにも着目し続ける必要があるだろう。

会員登録をすると、
記事全文が読めるページに遷移できます。

会員登録して全文を読む

医師について

新着記事