2023年03月06日掲載
医師・歯科医師限定

【インタビュー】日本循環器学会学術集会・福岡で3年ぶり現地開催――対面での活発な交流・議論を期待

2023年03月06日掲載
医師・歯科医師限定

九州大学大学院医学研究院 循環器内科学 教授

筒井 裕之先生

日本循環器学会は2023年3月10日〜12日、福岡国際会議場/福岡サンパレス/マリンメッセ福岡(いずれも福岡市博多区)で学術集会を開催する。新型コロナウイルス感染症の影響で3年間オンライン中心の開催であったが、本格的に現地開催となる今学術集会、対面だからこそできるプログラムが多数用意されている(後日オンデマンド配信のプログラムあり)。大会長を務める筒井 裕之氏(九州大学大学院医学研究院 循環器内科学 教授)に学術集会の見どころや開催に向けた思いを聞いた。 

一般演題で活発な交流・議論を

3年ぶりの本格現地開催となる今回の学術集会、私がもっとも重視しているのが「一般演題」だ。一般演題は症例報告セッションと合わせて約2,500題が登録されている。数々の最新の研究結果が発表される一般演題は、演者、座長、聴衆の先生方同士、有益な議論や情報共有ができる絶好の機会である。会場内で直接顔を合わせて交流することで、新たなつながりや研究に発展することもあるだろう。これはオンライン開催では得られない学術集会の醍醐味だ。

若手医師の中には、これまで学術集会への参加はオンラインばかりで、今年初めての現地参加となる方も多い。現地参加することで、基礎研究や臨床研究に携わっている先生が全国の大学や病院に数多くいることを実感してもらい、そしてさまざまな刺激を受けてほしい。また私自身も若い頃そうだったように、著名なエキスパートの先生から直接話を聞くことも貴重な経験となる。今年も日本や世界で活躍しておられる著名な先生方に講演いただくプログラムを多数用意している。

また一般演題以外のプログラムのほとんどは、学術集会後にオンデマンド配信予定だ。現地で聞けなかったプログラムやもう一度聞きたいプログラムがあれば、ぜひオンデマンド配信を活用してほしい。

複数のハンズオンセミナー、末次 文祥氏の原画展など

一般演題のほかにも、現地開催のよさを最大限に引き出せるプログラムを複数用意した。ハンズオンセミナーは「心エコーハンズオンセッション」「PCIハンズオンセミナー」「統計・AIハンズオンセミナー」など例年以上に内容を充実させている(申込多数によりキャンセル待ちの状態)。展示企画にも力を入れ、企業との共催で約80ブース用意した。サンパレス福岡 2階ロビーでは『心臓外科医が描いた正しい心臓解剖図』の著者である末次 文祥氏の心臓イラストレーション原画展も行う。

また学術集会の開催と合わせて、「Walking Challenge@JCS2023」を企画した。会場の行き来でたくさんの距離を歩く3日間、スマートフォンアプリで歩数を計測し、毎日上位100人の参加者に学会オリジナルのスクラブを贈呈する。所属施設ごとの計測も行い、上位3チームを表彰する。また3月11日の学会終了後(20:00〜22:00)には、ランブレッタベイサイドでフットサル大会を開催する(参加費無料)。現地開催のよさを生かして楽しめる企画を用意しているのでぜひ奮って参加してほしい。

「心不全パンデミック」テーマに学生の発表も――5つの市民公開講座

学術集会最終日には5つの市民公開講座を行う。今年の市民公開講座の特徴は、市民や患者の「参加型」にしたことだ。市民公開講座では疾患啓発の講演が行われることが多いが、それだけでは一方通行のまま終わってしまう。疾患啓発のプログラムばかりでなく、市民や患者が実際に参加できる講座を増やした。心肺蘇生法の実技講習のほか、患者自身に体験談を語ってもらうプログラムを複数用意している。

そのほか、医師をはじめ循環器医療に関わる多くの人に聞いていただきたいのが「inochi Gakusei Innovators’ Program」(以下、i-GIP)だ。i-GIPはinochi未来プロジェクトが主催する、ヘルスケアの課題解決プランを学生同士が競い合うプログラムだ。毎年異なる課題が出され、2022年は「心不全パンデミック」をテーマに学生たちが解決プランを創出・実行してきた。その6か月間の活動報告や今後の展望について発表してもらう予定である。ヘルスケア課題に対して、学生がどのような問題意識を持っていて、どのような解決策を導き出しているのかを知ってもらえるよい機会になるだろう。

学術集会開催に向けて

九州大学が日本循環器学会の学術集会を主催するのは、第二代教授である竹下 彰氏が大会長を務めてからちょうど20年ぶりである。学術集会の開催に向けて、事務局長の的場 哲哉氏(九州大学循環器内科 講師)、副事務局長の井出 友美氏(九州大学冠動脈疾患治療部 講師)のもと医局員一丸となって準備にあたってきた。プログラムの作成にあたっては、若手医師にも「自分自身が聞きたいと思うテーマの提案」として、さまざまなアイデアを出してもらった。九州大学循環器内科として総力をあげて学術集会を迎えたい。日本循環器学会の学術集会運営委員会の先生方にもあらためて心より感謝申し上げたい。学術集会には全国各地から多くの先生方にお越しいただき、3年ぶりに福岡の地で交流できることを楽しみにしている。

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